デジタルマーケティングに役立つ行動心理学23選

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ここ数年で、スマートフォンやタブレットなどの機器が広く浸透し、これまでにはなかった方法でモノやサービスの売買が行われるようになり、消費者に対するアプローチ法も少しずつ変化してきました。

そして、その変化と同時に消費者が購買行動に至るプロセスや心理的な面に、より注目が集まり出しました。行動心理学、認知心理学、社会心理学、行動経済学などと絡めたマーケティングは、現代では切っても切れないほど重要になってきているといえます。さまざまな分野の心理学を駆使し、効果的なデジタルマーケティングを行っていきましょう。

デジタルマーケティングに役立つ行動心理学23選

ここでは消費者にアプローチする上で、高い効果を発揮する心理的効果23種を厳選しました。

厳選した23種の心理的効果さえおさえれば、あなたもデジタルマーケティングのプロになることができますよ!

1. バンドワゴン効果

いつも行列ができているお店が気になって、購入に至ってしまったケースは誰しも一度はあるのではないでしょうか? 

それを行動心理学の世界では、『バンドワゴン効果』と呼び、

”他者の購買に影響を受けて自らも購買する現象”

であると定義されています。実はこれ、マーケティングの世界でも頻繁に利用されています。

これらはたとえば“○○コスメランキング、1位”や“3年連続大賞受賞”というように、大勢の人から支持を受けているとアピールすることで、より多くの人からの注目を集め、売り上げアップにつなげる方法です。

実はこの効果に加え、上手に使い分けることでさらに売り上げが増加したり、集客に繋げることができる行動心理学の効果があります。それが、『スノッブ効果』です。

『スノッブ効果』とは、

”他者の購買に影響を受けて自らは購買を控える現象”

です。

周囲と差別化を図りたい人をターゲットにしたマーケティングが、“先着〇名様限定”や“一日100個のみの生産”などの方法です。

”人は「周囲との同質化」、「周囲との差別化」という相反する 2 つの気持ちを考慮して自らの意思決定を下している”

と考えられています。この2つの効果をマーケティングに活用して、売り上げや集客を増やしましょう! 

引用:http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~shoyuki/2012%20bandwagon%20and%20snob.pdf 

参考:https://swingroot.com/bandwagon-effect/

2.カリギュラ効果

『カリギュラ効果』とは、禁止されればされるほどその行為をしたくなる心理効果のことを言います。

「絶対に覗かないでください」といわれたにも関わらず、覗いてしまったという昔ばなしを思い出してしまいますが、マーケティングにおいてもとても効果的なのです。

“ダイエット中の方は絶対に買わないでください! 絶対に虜になってしまう○○”のような広告を目にしたことはありませんか?

この種の広告は、まさにカリギュラ効果を活かしたマーケティング方法です。「買ってはいけない」と禁止する表現を使うことで、人の興味をそそり、購買行動へつなげることができます。

参考:https://swingroot.com/caligula-effect/

3.アンカリング効果

これまでにテレビショッピングなどで、「通常○○円のところ、送料込みでなんと○○円!」と聞き、気づけば購入していたという経験はないでしょうか?

実はこれ、『アンカリング効果』という心理効果が働いているのです。アンカリング効果とは、

”最初もしくは同時に提示された特定の特徴や数値(価格)、情報が印象に強く残ってしまい、意思決定や判断に影響をおよぼす傾向のこと”

です。

人は限られた情報しかない状況下で、最初に着目した情報や数値を使いできるだけ正確な判断を下そうとします。さほど価値の高くない商品であったとしても、アンカリング効果をうまく使いこなすことでその商品価値を上げることはできるのです。

引用:https://blog.kairosmarketing.net/marketing-strategy/anchoring-effect-140502

参考:https://swingroot.com/anchoring-effect/

4.ザイオンス効果/単純接触効果

「このメロディーを聞くと、なんだか落ち着く」という経験や「理由なしにこのマークには親近感が湧く」と感じたことはありませんか?

”ある対象に反復して接触することで、その対象への好意度が高まる現象”

を『単純接触効果』と呼びます。このシンプルさ故に、マーケティングにおいても消費者獲得の手段として頻繁に用いられています。

しかしながら、現代は“情報過多社会”と呼ばれるほど、常に何らかの情報や刺激を受けています。いくつもの似たような商品が『ザイオンス効果/単純接触効果』を狙って消費者にアピールしていたとしたら効果はあまり期待できません。『ザイオンス効果/単純接触効果』と別の心理的効果を用いたマーケティングも考える必要性はあるでしょう。

しかし、ザイオンス効果/単純接触効果は、デジタルマーケティングにおいてもっとも基本的な部分であるのでしっかりと覚えておきたいところです。

引用::http://jsre.wdc-jp.com/emotion/pdf/es01_1/81-86.pdf

参考:https://swingroot.com/zajonc-effect/

5.ハロー効果

これまでにあなたは、『ハロー効果』という単語を聞いたことはありませんか?

「挨拶によって、引き起こされる心理的効果かな?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、まったく違います!

『ハロー効果』とは、

”ある対象を評価するときに、ある顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象”

のことです。

理解できるような、できないような現象ですね。

たとえば、「この商品は食べたことないけど、このメーカーの他の商品はすごく美味しいから、これもきっと美味しいだろう!」と思ったことや、「このメーカーの商品ってあまりよくないから、アフターサービスもしっかりしてなさそう」と考えたことはありませんか?

まさにそれが、『ハロー効果』なのです。

人の心理傾向を押さえることで商品によいイメージを与えることも悪いイメージを与えることもできます。この機会に『ハロー効果』をしっかり覚え、活かしましょう!

引用:https://swingroot.com/halo-effect/ 

6.プラシーボ効果/偽薬効果

『プラシーボ効果/偽薬効果』がどんな効果なのかご存知でしょうか?

「聞いたことあるけど、何だったかな?」と思う方も少なくないのでは?

プラシーボ効果とは、偽薬効果とも呼ばれており、

”本来は薬として効力のない成分の偽薬を投与したにも関わらず、病気が回復したり、症状が和らいだりする現象”

です。簡単に言えば、”思い込みによって実際に結果が変わる”心理的効果です。転んで泣き出した子どもに「痛いの痛いの、飛んでいけ~!」と言ったら泣き止む子どもがいますよね。あの現象も一種のプラシーボ効果です。

では、マーケティングにおいてどのように活かすのか?

これは、少しだけブランディング(「ブランド」を形作るためのさまざまな活動を指して使われる言葉)と絡んでくるのですが、たとえば、実際は同じ商品を「1ドルのチョコレート」と「10ドルのチョコレート」として試食してもらいます。すると不思議なことに、「10ドルのチョコレート」のほうが美味しいと感じる人のほうが多いのです。この現象は、「値段が高いのだから美味しいはずだ」という思い込みが味や感じ方を変化させるのではないかと考えられています。

このように、”このメーカーだから”、”この値段だから”というような“信頼”や“期待”、“暗示”をターゲットに植え付け、思い込ませることが次の購買行動につなげるポイントになるのです。

引用:https://swingroot.com/placebo-effect/

7.カクテルパーティ効果

大勢の人が集まり、笑い声や話し声が飛び交う中でも自分に関連のあるキーワードや興味ある話題は不思議と聞き取れてしまうことや自分が買いたいものを探しているときにいくら周りに似たような商品があっても、目当てのものをすぐに探し当てられた経験はありませんか?

この現象は、認知心理学の分野において『カクテルパーティ効果』と呼ばれています。

もしも人が、耳から入ってくる情報を一つも漏らすことなくインプットしていたら脳はパンクしてしまいます。自分にとって必要な情報を取捨選択できる能力が人には生得的に備わっているのです。

さて、このカクテルパーティ効果を利用したデジタルマーケティングにはどんなものがあるのでしょうか?

たとえば、インターネットの“バナー広告”が想像しやすいかもしれません。バナー広告は、宣伝したい”もの”や”こと”を伝えるスペースが限られているので、ぱっと目を引くようなデザイン、知りたくなるようなフレーズでないとユーザーはクリックしてくれません。

ターゲットを絞り、そのターゲットがクリックせずにはいられなくなるようなデザインやフレーズを考え、選ぶことでたくさんのバナー広告が存在する中でもターゲットは必ずあなたの会社のバナー広告をクリックしてくれるはずです。

カクテルパーティ効果を有用に使うには、ターゲット選定をしっかりすることが重要になってきます。ですが、そこさえ押さえれば素晴らしい効果を見せてくれるので工夫して使いこなしてみてください。

参考:https://swingroot.com/cocktail-party-effect/

8.テンション・リダクション効果

あなたが買い物に行って、悩みに悩んだ末に購入を決めたワイシャツをレジに持っていこうとしたら、店員さんから「そのワイシャツに合うこちらのベルトはいかがですか?」と勧められ、迷うことなく二つとも購入をしてしまった、そんな経験はありませんか?

それは、『テンション・リダクション効果』という心理的効果が働いているのです。テンション・リダクション効果とは、

”テンション(tension:「緊張」「不安」)・リダクション(reduction:「縮小」「削減」)という名前の通り、「緊張」や「不安」から「解き放たれた」”

心理状態です。

ワイシャツを選ぶのに頭を悩ませ、ようやく決めた瞬間に、「緊張」や「不安」から解放され、その解放感から勧められたものにすんなりと手を出してしまうのです。

身近なところでこのテンション・リダクション効果をうまく活かしているのが『amazon』です。amazonでは商品購入のとき、決済画面へ進む前に必ず「この商品を買っている人は、こういう商品も一緒に買っています」というレコメンドを表示します。みなさんも一度はこのレコメンドにつられてしまったことがあるのではないでしょうか?いまは無料のレコメンドエンジンもあるので、気軽にどんどん使ってみましょう。

引用:http://www.web-bp-lab.com/entry/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E5%BF%83%E7%90%86/%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%80%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E5%8A%B9%E6%9E%9C

参考:https://swingroot.com/tenshion-reduction/

9.バーナム効果

血液型占いの本などを見て、「あっ、私のことだ。当たってる」などと思ったことはありませんか?

誰にでも該当するようなあいまいで一般的な性格を表す記述を、「あなたの性格です」と言って渡されると、多くの人が自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう現象を『バーナム効果』と言います。

バーナム効果を引き起こす原因を探った研究の中で、もともと占いに好意的な者ほど的中したと判断しやすいという結果が示されています。この理由としては記憶を歪めて判断しているというよりも、むしろ占いに合致した情報を想起しやすいことが挙げられています。また、多くの内容は的中した場合だけ思い出し、外れた場合は忘れてしまうことが多いそうです。とくに悪い内容のほうが的中したと判断する傾向が高いことも分かっています。

その為、デジタルマーケティングでバーナム効果を活かすには、ターゲットの”悩み”、すなわち悪い内容を押さえることがカギです。”痩せたい”、”抜け毛を減らしたい”、”肩こりをなくしたい”、などのさまざまな悩みが年代別に必ずあります。しっかりとターゲットを定め、そのターゲットが持っていそうな悩みを考え、そこからバナー広告などを使って訴求していきます。バーナム効果はポイントさえ分かれば、様々な場面で使うことが可能です。この機会にぜひマスターしてみてください。

参考:https://drm.ricoh.jp/lab/psychology/p00014.html

10.ウィンザー効果

ネットショッピングをしていて、実際に商品を手に取って見れないとき、お客様の声や商品レビューを参考にして、購入を決めた、あるいはやめたことはありませんか?

これは、『ウィンザー効果』と呼ばれ、

”「直接本人から伝わるよりも第三者を介して伝えたほうが信憑性が増したり、影響を与えることができる」”

心理的効果です。

たとえば、あなたが職場で上司から褒められたとしましょう。褒められるのは、たしかにとてもうれしいですが、「本当に思っているのかな?」、「多分、お世辞だろうな。」と勘ぐってしまうこともあるはずです。しかし、同僚から「この間、部長がお前のことめちゃくちゃ褒めてたぞ。」と聞くと、直接言われるよりもうれしくて、気分が上がってしまった、なんていう経験が一度はあるはずです。

マーケティングにおいても同じです。その商品を販売している会社のHPに、「創業○○年の歴史が作り出した最高傑作」と書かれていても、「そりゃあ、自社の商品を悪くは言わないでしょう。」と捻くれた受け取り方をしてしまうかもしれませんが、「芸能人の○○さんは発売当初から使用してくれているんです!」などと聞くと、「へぇ、そんなにいいんだ。じゃあ、試してみようかな。」と簡単に購入してしまうのが人の心理です。

第三者から伝えたほうが信ぴょう性が増す効果、『ウィンザー効果』をしっかりと覚えておきましょう。

引用:https://tromolo.jp/windsor//

11.ストループ効果

ネット上で、さまざまな商品の広告を目にする中でふと、「単語の色と文字がしっくりこなくて気になるなぁ」と思った経験はありませんか?

その反応はとても正しいです。これは『ストループ効果』と呼ばれ、人は通常、色と単語が意味的に不一致な単語の読み上げをしたとき、一致している単語よりも反応が遅くなる傾向があることが心理学の研究において分かっています。

たとえば、クリスマス時期が近づいてくるとクリスマスセールやクリスマスプレゼントなどの広告をあちこちで目にします。そのときに、使われている色が”黄色”と”緑”だったらどう感じますか?

「えっ、クリスマスでしょ」とツッコミたくなると思います。クリスマスは”赤”と”緑”、ハロウィンは”オレンジ”と”黒”などのイメージは共通の認識として出来上がっているものです。それが崩されると人は戸惑い、混乱してしまいます。

色と単語が意味的に不一致な単語の読み上げをしたとき、一致している単語よりも反応が遅くなるという人の特徴をしっかりと押さえ、デジタルマーケティングにも活かしていきましょう。

参考:https://psych.or.jp/meeting/proceedings/70/poster/pdf/2pm107.pdf

12.コンコルド効果/サンクコスト効果

「あともう一点購入していただくと、さらに20%引きになりますよ」と言われ、欲しくもないのについついもう一点購入してしまった経験はありませんか?そういった形で購入したもののほとんどは、タンスの奥に永久保存されるか、ごみ箱におさらばしてしまいますよね。

もちろんこれも心理的効果であり、『コンコルド効果』と呼ばれています。

“一定の資本投下の後に、それ以上の資本投下が不合理であるにも関わらず資本投下を続ける行動”

を指します。

ポイントは、消費者にいかに「使った時間やお金を無駄にしたくない」と思ってもらうかです。デジタルマーケティングにおいては、「あと〇円のご購入で、送料が無料になります」や「あと〇日で、ポイントの有効期限が切れます」などの言葉を商品の決済画面で表示することで、消費者のカートに商品を追加できるかどうかが決まります。コンコルド効果を上手に利用してみましょう。

引用:https://ci.nii.ac.jp/els/contents110007008899.pdf?id=ART0008927838

13.マッチングリスク意識

「興味あるけど、自分に合わなかったらどうしよう」、「買っても効果が出なかったらお金を捨てるようなものだなぁ」という考えからモノやサービスを購入することをためらったことはありませんか?

しかし、“安心の返金保証制度”、“使用しても購入して30日以内なら全額返金”などの言葉を見て、それなら安心と思い、購入を決めたこともあるのでは?

これは、『マッチングリスク意識』と呼ばれており、「美味しくなかったらどうしよう」、「期待外れだったらどうしよう」などの商品を購入する前に未来を予測して起きる不安な心理状態を指します。しかし、この心理状況は“保証制度”や“無料お試し”などのフレーズで救われますよね?

このマッチングリスク意識を利用したマーケティングにおいては、人の”リスク回避をしたがる”という特徴をしっかりと押さえることが大切です。

一万円を手に入れる嬉しさと一万円を失うショック。同じ一万円なのに”一万円を失うショック”のほうが大きな出来事のように感じますよね。人は、”失う”や”損する”などのリスクをできるだけ負いたくなく、回避できるものは少しでも回避したいのです。そういった人の生得的な部分を上手に利用したのが、“保証制度”や“無料お試し”などのマッチングリスク意識です。

参考:https://swingroot.com/marketing-psychology/#st-toc-h-30

14.決定回避の法則

欲しいものがあるからとショッピングへ行き、想像以上に種類が豊富で選ぶのに迷った挙句、結局はなにも購入しなかった、という経験はないでしょうか?

”人は選択肢が多くなるほど、選ぶことができなくなってしまう”

ことが行動心理学の分野で明らかになっており、これは『決定回避の法則』と呼ばれています。

ついつい、自社の強みのひとつとして「カラーバリエーションが豊富!」などと宣伝してしまいますが、あまりにも種類がありすぎると逆に消費者が離れて行ってしまう原因になるのです。

ネット上の広告においては、うまく使い分けてみましょう。バナーなどの広告では、「他社よりも断然、種類が豊富!」などと謳いつつ、サイト内においては消費者が選ぶのに困らない程度の種類に調整したり、消費者が欲しいものを確実に探せるようなページ作成を意識するなどをしてみましょう。そうすることで、消費者に本当に欲しいものを提供してくれるという意識を植えつけることも可能です。

引用:https://swingroot.com/marketing-psychology/#st-toc-h-16

15.アンダードッグ効果

幼いころに戦隊ヒーローの番組を見ていて、いつも悪者に勝つはずのヒーローが予期せぬ事態の発生で負けそうになったときに思わず、「がんばれー!」と叫んでしまった記憶はないですか?

”弱い立場にある人や、不利な状況に追い込まれている人を応援したくなる心理現象”

のことを社会心理学の分野において『アンダードッグ効果』と呼びます。

もともとは、政治の世界で用いられていた用語ですが、実はマーケティングにおいても有用に使うことができます。

たとえば、“赤字覚悟で割引中”や“もう、まもなく閉店! 閉店セール実施中”などの広告を見たことはありませんか?そして、何週間かしてそのお店の前を通れば、まだ元気にお店を開店していて、「あれ? 閉店するんじゃなかったの?」と不思議に思ったことがあるのでは?

しかし、その広告を目にしたときに、「閉店セールなら、安いはず」と思った人もいれば、「なんだかかわいそうな気がするから、とりあえず入ってみよう」と思った人、さまざまだとは思いますが、とにかく興味がそそられたことは間違いないと思います。それが、マーケティングでうまく使われているアンダードッグ効果です。ぜひ挑戦してみてください!

引用:https://swingroot.com/underdog-effect/

16.クレショフ効果

たとえば、あなたが自然派由来のシャンプーを購入するためにネットサーフィンをしていたとしましょう。すると、ある商品が目に留まりました。その商品は他の似たような商品と何が異なったのか?

それは、シャンプーの画像の横にさまざまな植物の画像が並べてあったのです。そのときにあなたはどう考えたか? おそらく、「この商品は本当に自然派由来のシャンプーなのだな」と思ったはずです。

ある2つの画像には関連性がなかったとしても、頭の中では無意識に関連性を持たせて見てしまう現象を、認知心理学の領域において、『クレショフ効果』と呼びます。

この効果をマーケティングに応用できれば、消費者に与えたいイメージをコントロールできるようになります。商品に優しいイメージを与えたいとしたら、優しさを連想させる“花”や“自然”、美味しさを伝えたいなら“笑顔”などを配置することが効果的です。

商品以外の周辺の”モノ”を変えることで、商品イメージを良くも悪くも変化させることが可能です。

参考:https://swingroot.com/kuleshov-effect/

17.ツァイガルニク効果

「次回、知られざる秘密が明らかに! 次巻は10月末発売予定!」

こんなフレーズで大好きな漫画が終わってしまったときに、続きが気になってもやもやしてしまった経験はないでしょうか?

これは、『ツァイガルニク効果』と呼ばれており、

”人は達成できた事柄よりも、達成することができなかった事柄や中断している事柄のほうを強く覚えている”

、という心理的現象です。簡単に言えば、「知りたい内容や興味の対象を一旦遮断されることで、より強く気になってしまう」というものです。

この心理的効果を活かしたマーケティングは、私たちの身近なところでたくさん行われています!

たとえば、「痩せるには○○と○○の成分が必須だった!?」という広告や「次週、知られざる秘密が明らかに!」などのフレーズは聞き覚えがあると思います。

このように、あえて未完の形で終わらせることで、消費者の心を強く掴み、記憶に残っている商品としてイメージをつけることが可能になるのです。

引用:https://successbeginstoday.org/topics/42

参考:https://swingroot.com/zeigarnik-effect/

18.コントラスト効果

たとえば、日本ではコーヒー1杯100円なのが当たり前だとしましょう。しかし、違う国へ出かけるとコーヒー1杯500円が当たり前で、その事実を知ったときにあなたはとてつもなくその国でコーヒーを飲むのが高く感じられるでしょう。逆の場合も考えられます。日本ではコーヒー1杯500円が当たり前で、違う国へ出かけるとコーヒー1杯100円が当たり前で、その事実を知ったときにあなたはその国でコーヒーを飲むのがとても安く感じられると思います。

モノは同じなのに、直前に接触したモノにより感じ方が変わる。この心理は不思議です。

この、

”実際の差よりも大きく印象が変わる現象”

を、『コントラスト効果』と呼びます。

マーケティングにおいて、コントラスト効果を上手に使うポイントは、“値段の大きなモノから提示する”ということです。アンカリング効果のパートでもお伝えしましたが、人は“最初に目にするモノ”を基準に物ごとを考える傾向があります。

コントラスト効果を用いて自社の商品を売ろうと考えるなら、類似の値段の高い商品を前に提示し、最後に自社の商品を持ってきて、安いことをアピールすることが大切です。

引用:https://swingroot.com/contrast-effect/

19.フレーミング効果

伝えたいことは同じでも、伝え方や見せ方を変えるだけで人に与える印象は変わります。この心理的効果は『フレーミング効果』と呼ばれ、行動経済学の領域です。

たとえば、「a. バナナは甘い」と「b. スイカはバナナほど甘くない」という2つの表現は結局、どちらもバナナが「甘い」ということを示しています。しかし、「a. バナナは甘い」の表現のほうが意味をすんなりと受け取れると思いますし、簡単に「何がどんな状態であるのか?」が理解できるのではないでしょうか?

何かモノを売る場合も同様で、フレーミング効果を有用に利用すれば人を説得しやすくなり、購買行動を促進できます。ただし、ターゲットの年齢や売りたい商品内容などによって、アプローチの仕方はもちろん異なります。

病院の検診などを呼びかけるのであれば、「ネガティブに訴求する」ことがポイントですし、推進商品であれば、「ポジティブに訴求する」ことがキーになります。

ターゲットへのアプローチ法をしっかり見極めれば、フレーミング効果は大きな効果を発揮してくれます。

参考:https://swingroot.com/framing-effect/

20.返報性の原理

スーパーの試食販売でたまたま試食をしてしまったときに、「買わないのは何だか申し訳ない」という気持ちから、欲しくもないのに試食した商品を買ってしまったことはありませんか?

もちろん、これも心理的効果の一つです。社会心理学の分野で、『返報性の原理』と呼ばれています。

『返報性の原理』とは、人に何かをしてもらったら、お返しをしないと申し訳ない気持ちになる心理のことです。

何でもそうですが、相手に求めるばかりでは相手も答えてはくれません。しかし、ちょっとした自分自身の心がけで、相手も気持ちよく自分の求めに応じてくれるようになります。そのヒントが、返報性の原理に隠れているのです。

試食した商品を購入したときや無料キャンペーン後に商品を購入したときを振り返ってみてください。”あること”が共通しています。それは、”与える”という行動を消費者よりも先にしているということです。

返報性の原理は、人に何かをしてもらったら、お返しをしないと申し訳ない気持ちになる心理のことでしたよね。まずは、”人に与える”。これを忘れなければ、返報性の原理はデジタルマーケティングだけではなく、人とのコミュニケーションにも有効な心理的効果と言えます。

デジタルマーケティングで返報性の原理を使うとしたら、“送料・一週間分お試し無料”などの言葉で惹きつけ、お試しをさせ、後戻りするのは申し訳ない状況を作り出すことが必要です。

参考:https://swingroot.com/retaliation-principle/

21.権威への服従原理

お店に行って、「現役医師100名が選んだ○○」という広告を見ただけなのに、「じゃあ、信頼できるな」と思ったことはありませんか?

この現象は社会心理学の領域で『権威への服従原理』と呼ばれており、

”権威のある人に対しては無条件で信用してしまう”

心理のことです。

たとえば、あなたが強大な権力をもつ人に、”人を傷つけろ”と命令されたとします。あなたはその命令を実行するでしょうか? 

イェール大学のスタンレー・ミルグラム(1933~84)によって行われた、『電気ショック実験』により、6割~8割の人は権力をもつ人に強く命令されると、自責の念に駆られながらも命令にしたがってしまうことが明らかになりました。人はたとえ自分の意志ではなかったとしても、絶対的な権力をもつ人からの指示には忠実にしたがってしまうのです。

マーケティングにおいて権威への服従は、人からの“信頼”を得ることにとても役立ちます。

広告や商品パッケージなどに権威を感じさせるキャッチコピーを使うだけでも消費者からの信頼度が高まる要因になります。

引用:https://swingroot.com/marketing-psychology/#st-toc-h-10

参考:https://psych.or.jp/interest/mm-01/

22.文脈効果

「くもが広がっていてあまり天気が良くないね」と「くもの巣にひっかかったら気持ち悪いよね」というこの2つの表現。出てくる単語の”くも”は同じものなのに、前後の文の表現により単語の意味合いがまったく異なりますよね。

”言葉や文章、記号の理解について、対象とするモノが前後の文脈や状況によって意味合いが変わる現象のこと”

を、『文脈効果』と呼びます。

では、文脈効果を利用したマーケティングにはどのようなものがあるのでしょうか?

たとえば、“春といえばお花見”、“痔にはボ〇ギノール”、“福岡といえば明太子”のような文脈の式(「○○と言えば□□」)が情報の一つとして頭の中にたくさんインプットされていませんか?

誰から教わったわけでもなく、気づけば自分の頭の中で出来上がっていた文脈の式は何かを選択するとき、購入するとき、会話をするときに頻繁に利用します。

この流れを自社の商品にも取り入れ、マーケティングにも応用すればよいのです。“○○といえば□□”というのを消費者の頭の中に新たに構築させるのはとても大変ですが、イメージが定着すればそれは不変です。

文脈効果を取り入れたデジタルマーケティングにも挑戦してみましょう!

引用:https://swingroot.com/context-effect/

23.認知的不協和

あなたがダイエット中だとして、我慢しきれなかったケーキを食べてしまったとしましょう。すると、あなたの中では、「ケーキはおいしい。でも、ダイエット中のケーキはリバウンドのもとだ」という2つの感情が渦巻き、何とも言えない不快な感情が引き起こされるでしょう。

この、

”自分の中で矛盾する2つの認知(事柄)を同時に抱えた場合、不快な感情を引き起こす状態

を心理学では、『認知的不協和』と言います。そして、

”自分の持っている価値観・信念が強いほど、不協和も強くなります。”

そのため人は、この認知的不協和をできるだけ生じさせないために、ある2つの思考法を使います。一つ目は、不快な結果の理由を、自分を守ろうとして何か他のモノのせいにしてしまう思考、二つ目は、不快な結果の評価を、自分を守るために無理やり引き上げる思考です。自分の行動を振り返ってみると、そういえば今までにそんなことがあったと思い当たる人もいるのではないでしょうか?

マーケティングにおいても、有効に使えます。まずは、広告バナーなどにあえて認知的不協和を使ったキャッチコピーを用います。ここがポイントです!

自分のもつ信念や常識とかけ離れたことが書いてあるので、消費者にとっては気になる広告になります。たとえば、「好きなだけ食べても太らないダイエット法」のようなイメージです。

そして、消費者が勢いで広告の商品を購入したとします。しかし、消費者は自分で選んだモノにも関わらず、「やっぱり買わなければよかったかも」と後悔する場合があります。そんなときに『サンクスメール』を用いて消費者に、「自分の選択に間違いはなかった」と思わせ、安心感を与えます。これが、認知的不協和を用いたマーケティングの一通りの流れです。

認知的不協和を利用したマーケティングのポイントは、わざと認知的不協和を生じさせ、その認知的不協和を取り除くことです。そして、最後には

消費者に、「この買い物をしてよかったんだ」と思ってもらえるようにすることです。ぜひ、試してみてください!

引用:https://swingroot.com/cognitive-dissonance/

まとめ

デジタルマーケティングにおける行動心理学の必要性 行動心理学23選はいかがでしたか?

どれも、明日からでもマーケティングに活用できるような行動心理学の特集だったのではないかと思います。

そして、「意外と心理学って奥が深いなぁ」と感じた方もいると思います。はじめは、どれがどんな効果を発揮してくれるのかがわからないかもしれませんが、使っていくうちに上手な使い方やタイミングなどがつかめてくるはずです。

行動心理学を学んでおけばより”簡単に、面白く“モノ”の売買ができるようになります。

まずは、今回学んだことを実践し、行動心理学の魅力を感じてみてください!

そこから新たな角度で、マーケティングを知ることができるかもしれません。

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