先日も立ち飲み屋で飲んだくれておりましたら、隣のオシャレな兄さんから「ホームページの営業電話かかってきたけど…」と相談を受けました。
お兄さんは独立されている美容師さん。営業を受けたのは初期費用が無料のかわりに契約期間がなんと6年!の格安ホームページ制作サービス。
私は職業柄この手の相談を受ける事がたびたびあるので、今日はホームページ制作を依頼するうえで、業者選びのヒントになる考え方を書きたいと思います。
ぶっちゃけ損したくない
格安サービスと制作会社。料金が一桁違う為、なぜそんなに差があるの?と考えてしまう事もあるかと思います。しかしながら費用が安い、高いばかりに着目していると、思わぬ所で損をしてしまうことがあるので注意が必要です。
例えばせっかく費やした時間が無駄になることや、目の前のビジネスチャンスを逃してしまうケースです。
まずはホームページの作成を依頼する前に今いちど、あなたにとっての損とは何なのかを考えてみてください。
格安ホームページに依頼して損してしまったケース
個人で事業を営むAさん。初期投資が抑えられる格安ホームページサービスに制作を依頼しました。
公開から半年、ホームページからの問い合わせはほぼありません。同業の仲間に話を聞くと、Aさんの業種は広告からの集客が効果的で、その為には広告の内容に合わせたLP(ランディングページ)を作成する必要があることを知りました。作成業者に問い合わせた所、LPの設置には対応していませんでした。
契約終了までの期間、なんとか現行のホームページで集客を試みましたが、高い集客効果を出すことができませんでした。
制作会社に依頼して損してしまったケース
インターネット上でホームページを更新できるコンテンツマネジメントサービス(以下、CMS)を導入したB社。
知識がない社員でも細部まで更新しやすいようにとCMSのカスタマイズを制作会社に依頼しました。
公開から1年、こちらもホームページからの問い合わせはありません。定期的に更新しているにも関わらず、アクセス数の目立った増加も見られず、集客に結びついていませんでした。アクセス解析ツールで確認してみると、集客に結びつきそうな検索キーワードからのアクセスがほとんどありません。また自社で更新を続けた結果、デザインやコンテンツの統一感がなくなり、再度別の制作会社にリニューアルを依頼することに。
便利なシステムを導入した結果、更新のために費やした1年分の社内リソースを無駄にしてしまいました。
どちらのケースもホームページを導入することが目的となってしまい、以降の集客イメージがなかったため、結果損をしてしまったケースです。それではどのような考え方でホームページ作成を依頼することが必要なのでしょうか。
まずはあなたの会社がどのような使い方をして自社の利益に繋げたいのか想像してみてください。
その為のホームページを実現するにはどの業者に発注するのが良いかを知る事が重要なポイントです。それでは格安サービスと制作会社それぞれのメリットデメリットを挙げながら考えていきます。
格安ホームページサービスのメリットって?
とにかく安い
月額定額払いの料金体系。更に契約期間が設けられていることが理由ですが、導入費用が非常に安価です。
”格安ホームページ”のキーワードでGoogle検索して表示された上位10社の平均初期費用は32,962円(執筆時点)でした。このような安価なサービスであっても、目的によっては十分に使えるホームページを作成できます。
例えばお客さんが来社する際に地図を確認してもらったり、ワンタップで電話をかけて貰うなど、おもな営業活動の補助的なツールとして導入するケースです。またSNSをメインに集客しているケースでも、ホームページや問い合わせフォームがあれば顧客に安心感を与えることができます。
開設までが早い
あらかじめ決められている情報を用意するだけで、あれこれ考える時間を取られずにホームページの納品が完了します。最短5日で納品してくれるサービスもあります。
格安ホームページサービスのデメリットって?
テンプレートを使用している
雛形を使用しているため、独自のデザインレイアウトやオリジナルの機能を導入できる自由度はありません。
もしあなたが積極的にインターネット上からの集客をお考えであれば、まずは事前に今現在必要な機能、将来必要になりそうな機能を想定し、過不足なく揃っているかの検討と確認が必要です。
検索上位に表示された同業のライバルサイトをよく観察し、どのような機能やコンテンツがあるかピックアップして比較してみるのもひとつの手です。
契約期間に縛りがある
1年単位、2年単位のもの。中には稀に期間に縛りがないものもありますが、契約を終了する際に手元にホームページのデータやドメインが残るのか必ず確認しておくことが重要です。
特に、ドメインはインターネット上の住所ですので、失効してしまうとそれまで労力をかけて集めた顧客を失いかねません。
ドメインだけはご自身で所有、管理できるサービスを選択することをオススメします。また、インターネットは変化の激しい世界です。
なるべく長期の契約は避け、契約期間終了までに以降の計画を立てて置くことが重要です。
月額費用は主に保守管理の為のもの
月額費用の中にホームページの更新費用が含まれるケースもありますが、おもには現在の状態を維持する為の保守管理費用だと考えておいたほうが無難です。
特に、広告などを使わずインターネットだけでの集客をお考えであれば、大袈裟に言えば毎日ページを更新したり定期的に新しいコンテンツを追加していく心意気が必要です。
更新や修正費用が無料の業者であっても、どの程度の頻度や変更になると追加料金が発生するのか、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
制作会社に依頼するメリットって?
デザイン・コンテンツがオリジナル
あなたが想定するビジネスターゲット向けのオリジナルデザインやコンテンツを提案してくれることが最大のメリットです。
しかしながら、デザインやオリジナリティばかりに注目せず、集客の知識に疎い制作会社がある事も想定しておかなければなりません。
公開後が集客の始まりである事を意識し、納品以降の集客に関する提案やフォロー体制に価値を感じられる制作会社を選ぶ事をオススメします。
全て自由に変更ができる
成果が見込めないコンテンツを改良したり、流行のアイデアを取り入れたり、自社所有のホームページであればいつでも変更することができます。
もちろん依頼先である制作会社自体を変更することや、得意分野の違う複数の制作会社に手を加えて貰うことも可能です。都度追加費用は必要になりますが、制約を気にする必要は一切ありません。
追加費用は主に改善の為のもの
ホームページを納品した後に発生する費用はドメイン、サーバー、SSLなどにかかる保守管理費用を除けば、ほぼ全て改善の為の費用と考えられます。
より効率的な集客効果を狙う為の改善費用でもありますから、将来的に見れば費用対効果が上がることにつながります。
制作会社に依頼するデメリットって?
まとまった初期費用と時間が必要
依頼者の要望を汲み取ったり、業界を調査したりと、デザインとコンテンツを提案する作業は非常に時間がかかります。
その分費用もかかる点がデメリットとして挙げられます。そうして納品されたホームページであっても、作ったままの状態で放置しておくだけでは集客効果は見込めません。それが、とても素敵なデザインであっても同様です。発注しようとしているコンテンツが今本当に費用をかけるべきものかどうか、今いちど考えてみるとよいかもしれません。
さて、ここまでそれぞれのメリットデメリットについて考えてきました。私が見てきた中で損をしていると感じる人に共通して言えることは「専門家にお任せ」「インターネットの事はよくわからない」と他人任せの姿勢で発注してしまう人です。
知識がなくても最低限、ホームページをどのように使いたいのかイメージしておくことが重要です。
それが難しければ成功している同業のホームページがなぜそのような作りになっているのかリサーチしてみてください。目先の費用に囚われず、もういちど、あなたのビジネスに必要なホームページがどんなものかを想像してから、格安ホームページと制作会社を見比べてみることをオススメします。
まとめ
・ホームページを導入する目的を再確認してください
・費用面だけでなく人的リソースとビジネスチャンスの面で損しないか考えてください
・格安サービスへの依頼時には、必要な機能が揃っているか事前の確認、検討が必須です
・ドメインだけは自社で管理できる業者を選んでください
・制作会社は納品以降の提案をしてくれるところがオススメです
・人任せの姿勢でホームページを発注すると結果損になります
・ビジネスに必要なホームページを作成できる業者を選ぶことが重要です
以上、ご参考になれば幸いです。